羽ばたいた二人は　一人の蝶になる
呪いの系譜に　抱かれたまま

いつか見た　悪夢が
舞台照らす　月光の〈magie〉 (魔法)
溜息で　賺す
招かれざる　冷艶の〈maudit〉 (忌人)

身命を　欺く　煤けた肖像に
導かれ　恋い焦がれ　今もなお

愚かしき抱擁　秘密は仄甘く
悲鳴は　誰にも　聞こえない
残酷な〈痛み〉 (douleur) に　溺れてしまったの
私は　〈私〉 (Laura) を　失ってゆく

横たわる　蜜に
逆上せながら　蝕む〈raison〉 (理知)
寝台の　罠に
灯影　揺れる　盲目の〈baiser〉 (接吻)

永遠を　嘯く　吐息と唇は
もう何処を　捜しても　居ないのに

狂おしき恋情　夜毎にほろ苦く
遺影を　紊して　貫いて
屈辱の〈痛み〉 (blessure) を　愛してしまったの
〈あなた〉 (Mircalla) が　〈あなた〉 (Carmilla) を　演じる程に
嗚呼〈La voix du sang〉 (血族の絆) 如何して
〈あなた〉 (Carmilla) を喪った　悲しみを
この〈墓穴〉を　埋めればいい？

褪めてゆく墓標に　百年刻まれた
碑銘を　指でなぞりながら
『愛してる』最期に　貴女が望むなら
〈痛み〉 (deuil) は　決して忘れないわ

結ばれぬ二人の　棺に頬寄せて
犠牲を　厭わぬ　恋だから
続けましょう〈あなた〉 (Carmilla) が　〈私〉 (Laura) にしたことを
悲劇を〈私〉 (Alura Karnstein) が　繰り返すだけ

嗚呼　貴女の〈姓〉を　抱いて眠るの……