Ikd-sj
箇の段 (Chapter Ka)
[Verse 1]
それは模倣ではなかった
それは複製ではなかった
それは偶然ではなかった
それは偶像ではなかった
その男は神の末裔ではなかった
その男は神の代理人ではなかった
その男は偽りの革命家だった
その男に従ったものは全て偽りだった
決して何かを信じてはいけなかった
それはこの世で最も唾棄すべき愚かな行為だった
奇妙なことに、いつの間にか中身が丸ごとすり替わっていたのに誰も気付こうとさえしなかった
どうやらそれを指摘するには皆あまりにも知性が足りなさすぎた

[Chorus]
狂ったように肌寒い八月の夜空が季節外れの雪を降らせた夜だった
行進の足音はどこまでも続いた 誰もが熱に浮かれているようだった
千年に一度の災厄をもたらすという茶緑色の月がぼんやりと浮かんでいた
遠くで何かが破裂するような音が微かに聞こえた それが合図だった

[Verse 2]
その男は私は神に選ばれた存在なのだと言った
神に導かれたのだと言った
私には力が有ると言った
果たさなければならない約束があるのだと言った
約束された使命があるのだとも言った
声高らかに誰よりも大きな声でそう宣言した
だが俺には神から恵みを受けた覚えなど更々なかった
溜め息が出るほど馬鹿馬鹿しい言説だった
それはまるで詭弁と矛盾ばかりを百も並べ立てて拵えたような
いたずらに高邁で醜悪なまでに狂信的な話だった
[Verse 3]
目蓋の裏で勢いよく燃えていた
焼けるように赤く爛れていた
瑞々しい破滅と香ばしい甘い秩序と滴り落ちる狂乱の甘い蜜の味だった
その裏にあるものをついにも夢疑うことはなかった
既にもう手遅れだった
取り返しのつかないヘゲモニーの渦が目の前にはあった
誰もが自らその足を踏み入れようとしていた
最早それを止める術など何処にもありはしなかった
そして俺は静かにその扉を閉めた

[Chorus]
狂ったように肌寒い八月の夜空が季節外れの雪を降らせた夜だった
行進の足音はどこまでも続いた 誰もが熱に浮かれているようだった
千年に一度の災厄をもたらすという茶緑色の月がぼんやりと浮かんでいた
遠くで何かが破裂するような音が微かに聞こえた それが合図だった
狂ったように肌寒い八月の夜空が季節外れの雪を降らせた夜だった
行進の足音はどこまでも続いた 誰もが熱に浮かれているようだった
千年に一度の災厄をもたらすという茶緑色の月がぼんやりと浮かんでいた
遠くで何かが破裂するような音が微かに聞こえた それが合図だった