植田 真梨恵 (Ueda Marie)
さよならのかわりに記憶を消した (Changed My Memories Instead of Saying Goodbye)
暗闇にしゃぼん玉ひとつ 割れた、消えた
時間なら短すぎた だから、
もともとそこにあったのかすら わからない程 きれいになった
「ねえ、お医者さん、もうどうしようもないの
事実は変わらず記憶に残って 証拠なんて無いわ
二人の跡なんて この脳裏にこびりついてるだけ
こびりついてるだけ」
巻きもどる記憶の中 あの日の君に会った
君をさらって逃げたならば、
忘れかけていたこと ふっと蘇っては
ひとつずつ消えていった
ねえ、お医者さん、もうどうしようもないの?
事実を飲み込むことが出来なくて もう戻れなくても
この記憶だけは残しておいて下さい
消さないで下さい
君と会った海 君の話す声
君が書いた番号 君にかけた電話
君と見た星座 君が泣いたベッド
君が消した全て、君を消した、全て
君と出逢うことなど簡単だった
君と恋することなど簡単だった
君と生きてくことなど簡単だった
君と離れることとは簡単だった