鵜島仁文 (Yoshifumi Ushima)
JJに借りたもの
落書きだらけの地下鉄が
地上を走った数分間
俺たちが生まれたハーレムが
楽園に見えるよ
壊された消火栓までが
変わっていない街
歩けば仲間たちが
ハグを求めて来る
JJに借りを返しに来た
ガキの頃の話さ
あいつのことだから
もう何も
覚えていないだろう
奴に借りを返しに来た
ずっと気になっていたんだ
忘れててくれりゃすぐ済むさ
ビールを飲んで帰ろうかな
あの頃の俺たちのような
ガキたちがタイヤを焼いてる
誰も住んでない廃墟なのに
洗濯物がいっぱい
建前と本音があるのは
どこの街も同じなんだ
イリーガルな世界にも
守るべきルールがある
JJに会わないわけにいかねえ
いつからか思ったよ
大人になったから
今なんだ
俺は決心した
奴に会わないわけにいかねえ
妻と娘に電話して
何も言えぬまま切ったのは
俺に守りたいものができたのか?
懐かしいあのバーで
近況で盛り上がって
あの夜の拳銃の
トリガー引いた
JJに借りを返したんだ
俺の念願だったけど
大人になってから
どうでもいい
忘れそうになったよ
奴に借りを返したんだ
やっぱり許せなかった
大事にしていたプライドは
ガキの頃からずっと変わらねえ