松任谷由実 (Yumi Matsutoya)
さざ波 (Ripples / Sazami)
[荒井由実「さざ波」歌詞]

秋の光にきらめきながら
指のすきまを逃げてくさざ波
二人で行った演奏会が
始まる前の弦の響きのよう

月の形のボートの上で
素敵な日々を想い出にしたい
ひざに開いた短編集も
風がめくっていつの間にかエピローグ

愛が終るのをたしかめずに
ひとりここへ来てよかったの

オールも持たず漂いながら
やさしい人に手紙を書きたい
短いけれど楽しかったと
強がりだけを岸の落葉にそえて

霧が水面をゆっくり流れ
帰る岸辺を覆いかくすように
もうしばらくは本当の愛を
見つけられずに さまよってもいいの

愛が終わるのを 繕ったら
明日を生きるのに おくれたわ
オールも持たず漂いながら
やさしい人に手紙を書きたい
心も文字も少しゆれてる
グレイの影と私だけの十月
グレイの影と私だけの十月