Unlucky Morpheus
Angreifer
最後の記憶 暗闇の中
目を凝らした 視界に
冷たく臥せる 母の躯と
咽せるほどの 血の匂い

悪夢の中で 誰が問う
『後悔は有るか』と
頭の中の 声が喚ぶ
刑戮を 果たせと……

最悪の目覚めが訪れる
運命よ これを因果と呼ぶのだろうか?
死に損ないの使命を全うせよ
独り遺された棺の中で

散った花の色は幻
過去も愛も全て失った
たった一縷 此処にあるのは
渇く術を知らぬ牙だけ

かつて 人間だったモノよ……

赤き血を喰らう 獣の 誇りよ在れ
衝動が吼える  『奴らを根絶やしにせよ』

底知れぬ虚無と
疾うに知っている
逃れ得ぬ運命の支配下で
せめてもの慰撫に
一度切れた糸を手繰って
績まれ目覚め墜ちた《彼の日の少年》は
昏く心肺燻す殺意の
他に生きる理由など無い

かつて 人間だったモノよ……

奪い奪われる 獣の 覚悟よ在れ
本能が哮る 『残らず 土に帰せ』と

愉悦漏らす死こそ餞
罰も咎も全て引き裂いた

たかが贋の《格下》風情に
二度も逃げる道は与えない

《純血》か《混血》か
お前は何方だ
誰に向かって口を聞いているのか
本当に理解しているのか?

亡き者へ捧ぐ 祈りに 終焉は無い
永久の断罪が 此の身の 定めならば

赤き血を喰らう 獣よ 破滅を飼え
魂が叫ぶ  『奴らを総て屠るまでは……』
深く吐き出す
煙に抱かれ
彼は降り立つ
嗚呼 幾度でも